ヨガ講師として活動することは多くの人にとって夢の職業です。自分のライフスタイルを大切にしながら、他者をサポートする仕事は魅力的です。しかし、現実問題として、ヨガ講師として安定した収入を得るのは簡単なことではありません。特に、資格取得後に「想像以上に収入が少ない」「レッスンの本数を増やしても収入が増えない」と感じる方は多いでしょう。

皆さんは、「ヨガ講師の収入」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか？多くの方が、この話題を避けがちで、業界内でもタブー視される傾向があります。しかし、現実を直視し、ヨガ講師として安定した収入を得る方法を考えることは非常に重要です。

本記事では、ヨガ講師が直面する収入事情とその向上方法について詳しく解説します。具体的なステップを踏むことで、収入アップを目指すことは可能です。まずは、現状を理解し、自分の収入を増やすためにできることを整理してみましょう。

ヨガインストラクターの収入事情とその原因

先日、RYT200を受講中のある講座生さんからある日、こんな質問を受けました。

「スクールで、『ヨガ講師一本で生計を立てている人はほとんどいないし、ほとんどの人が兼業です』と先生が言っていましたが、やはりそうなのでしょうか？」

正直、ヨガインストラクターって、あまり稼いでいるイメージはないと思います。

実は私も、以前は低い単価で働いていました。

私が資格を取得してすぐに働き始めたヨガスタジオのスクール単価は3000円/回ほど。60分のレッスンにお出迎え、お見送り、掃除、行き帰りの時間を入れると、実質時給は700~800円でした。

これは、ヨガスクールやジムに勤務する場合、クライアントとの契約形態や提供するクラスの種類にも依存しますが、一般的にこのような低収入の状況が続くことが多いのです。

さらに、資格取得には大きな投資が必要で、ヨガインストラクター養成コースを受講したり、関連の勉強を重ねたりすることで、数十万円以上の費用がかかります。それにもかかわらず、最初は期待していたほどの収入を得ることができず、多くの講師が「ヨガを教えることで生計を立てるのは難しい」と感じることが多いです。

とはいえ、ヨガは決して「お金とは無縁の仕事」ではありません。ヨガ講師は、心身のケアを大切にしながらも、自分自身の価値をしっかりと認識し、収入アップを目指していくことが求められます。では、どのように収入を増やしていけるのでしょうか？

1.「お金」のイメージを変える

ヨガ講師が収入アップを目指す上で重要なのは、まず「お金に対するイメージを変える」ことです。多くのヨガ講師は、「お金をもらうことは悪いこと」「ヨガは奉仕の精神だからお金をどれだけいただけるかどうかは問題でない」という考えが、無意識のうちに根づいています。この思い込みを解くことが、収入を向上させる第一歩です。

私が今現在学んでいる、世界最先端のホリスティック栄養学では、健康とは身体的な健康だけでなく、精神性や生活全般のバランスが取れていることだと教えられます。「健康で幸せな状態（Well Being)」な状態とは、身体的に病気や不調がない状態だけではありません。もっとホリスティック（全体的）な視点で見た上で、経済状況も、一つの「健康」である要素だとする考えです。この考え方をヨガ講師の仕事に活かすと、収入が安定し、経済的な余裕があれば、健康をサポートするためにヨガを教える側である自分が満たされ、より健康であることができ、より多くの生徒さんに充実したレッスンを提供することができるのです。お金を得ることは決して悪いことでも汚いことでもなく、それを循環させることが、より多くの人をサポートするために必要不可欠なエネルギーとなります。

2. 収入アップのための具体的な方法

ヨガ講師として安定した収入を得るためには、いくつかの方法があります。まずは、レッスン数や参加者数を増やすことが一般的ですが、それだけでは体力的な限界があるため、他の方法を組み合わせていくことが重要です。

ステップ1：レッスン数を増やす

もっとも簡単に収入を増やす方法は、レッスンの回数を増やすことです。週に何回もクラスを開催すれば、収入は自然と増えていきますし、生徒さんの人数を増やすことで、収入を理想の額にすることは可能でしょう。しかし、この方法には限界があります。なぜなら、自分の時間やエネルギーもお金と同じように大切な自分のリソースだからです。こうしてはたらく時間を増やすようなやり方は、増やせば増やすほど、それだけ自分のリソースも減っていきます。

私自身、以前フルタイムで会社員をしながら会社の仕事がない平日の夜や週末にレッスンを詰め込んで、まさしく週七日、365日働いている状態だったのですが、睡眠や食事の時間さえままならず、自分のヨガの時間も取れず、自分の健康が犠牲になり、心身ともに疲れ切ってしまいました。ヨガの教えを伝える側が健康でなければ、良いレッスンはできません。したがって、レッスン数や生徒数の増加だけに依存するのは難しい場合もあるのです。

ステップ2：単価を上げる

これは、私が講座生さんたちにおすすめしている方法ではありますが、レッスンの単価を上げることも収入アップの一つの方法です。ヨガ講師さんの話を聞いていると、500円/回のような低単価でヨガクラスを提供しているという方もいらっしゃいます。そして、多くの方が、単価をあげたい、これでは割に合わないと思いながらも、単価UPができずにいるのです。この理由として、「自信がない」「単価をあげたらきてくれなくなるのではないか」という恐れや不安の気持ちです。

ですが、このような恐れ、不安を乗り越えるために、次の３つのポイントを意識してみましょう。

1. ヨガを「受けてもらっている」という気持ちを捨てる

まず大切なのは、ヨガを「受けてもらっている」と感じるのではなく、「価値を提供している」という意識を持つことです。あなたが提供しているのは、単なるヨガのポーズではありません。心身を整える、生活の質を向上させる、そして人々に前向きな変化をもたらす大切な時間です。このことをしっかりと自覚することで、金額に対する不安も薄れていきます。

2. お金をいただくことは「責任」だと捉える

次に、お金をいただくことは、単なる対価の支払いではなく、あなたが提供する価値への「責任」だという意識を持つことが重要です。お金をいただくからには、より良いレッスンを提供し、生徒さんの心身に変化をもたらす責任を果たすべきだという覚悟が必要です。自分の仕事に対する責任感が高まると、料金に対する不安も少なくなり、自信を持って単価を上げることができるようになります。また、お金を支払うということは、生徒さん側にとっての責任にもなります。

ここで、少し考えてみて欲しいのですが、例えばあなたが無料のヨガクラスに申し込んだとします。その当日に、なんだか眠たいようなだるいような、不調ではないけど「面倒だな」「このまま家にいてごろごろしていたい」というような気持ちが芽生えたとしたら、「無料だからキャンセルしてもいいか」という気持ちになりませんか？おそらく、これが「単価1万円」ですでに支払ってしまっていたとしたら、少しぐらいの不調はおして、その支払った分を取り返すためにヨガのクラスに参加するはずです。このように、お金を支払う、ということは、受ける側にとっても自分との約束のような効果を生み、本気でそのクラスに参加して何かしらのベネフィットを得ようという、積極的に学ぶ姿勢を生むのです。

3. 価格を上げるために付加価値をつける

最後に、価格を上げるためには、付加価値をつけることが大切です。昨今では家賃や定期購入の宅配野菜、オンラインサービスなども様々なものが値上がりしていますが、それにはすべて理由がついています。納得できる理由があれば、そしてその値上がりの価格がその理由に見合うものであれば、人は単価をあげても継続してサービスを受けたい、と思うものです。たとえば、レッスン後に生徒さんが自宅で実践できるようなヨガのアドバイスを提供したり、特別なオンラインコンテンツを作成してフォローアップしたりすることで、より高い価値を提供できます。また、少人数制のクラスや個別対応を強化することで、より充実した体験を提供できるようになり、単価UPがしやすくなります。ターゲットを明確にし、ニーズに応じたクラスを開催するも重要です。自分の専門性を高め、他の誰でもない、あなたに教えてほしい、という人が増えれば、それだけあなたのクラスの単価はUPしていきます。

ステップ3：パッシブインカムを作る

最後に、パッシブインカム（不労所得）を作ることが、ヨガ講師の収入向上にとって非常に有効です。オンライン講座や動画コンテンツ、会員制のウェルネスコミュニティを作成することで、定期的に安定した収入を得ることができます。私自身も、オンラインでの柔軟性向上プログラムや、ホリスティックな視点を取り入れた養成講座を提供することで、安定した収入を得ることができています。これにより、レッスン数を増やさずに収入を向上させることができ、時間的な自由も確保できました。また、グループでできるものはグループレッスン、またはセッションにしていくことも有効です。

まとめ：ヨガ講師として収入を向上させるためのステップ

これまでの章では、ヨガ講師として安定した収入を得るための方法をいくつか紹介しました。最初は収入の現実に戸惑い、不安を感じることも多いかもしれません。しかし、重要なのは自分の価値を再認識し、その価値を提供し続けることです。収入を増やすためには、単にレッスンを増やすだけでなく、自分自身の心身のバランスを保ちながら、より多角的なアプローチを取ることが必要です。

ここで紹介したステップを一つ一つ実践していくことで、あなたの収入は着実に向上し、ヨガ講師としての仕事をより充実したものにすることができるはずです。

1. 「お金」に対する思い込みを解く
   お金を得ることが悪いことではないと認識し、ヨガを教えることに価値を感じてもらうことが大切です。お金を循環させることで、あなた自身もより健康で幸せな状態を作り出し、生徒さんにより良いサービスを提供できます。
2. 収入アップのための方法を実践する
   レッスン数を増やすこと、単価を上げること、そして自分の専門性を深めることで、収入を向上させることができます。自分の価値を再確認し、適切な料金設定をすることは、長期的に見て大きな変化を生み出します。
3. パッシブインカムを作る
   オンラインコンテンツや会員制コミュニティを活用することで、定期的な収入を得ることができます。これにより、時間的な自由を確保しながら、収入を増やすことが可能です。

ヨガ講師として自分のペースで安定した収入を得るためには、日々の努力と自己価値を高めることが不可欠です。最初は小さな一歩でも、それが確実に自信に繋がり、長期的に見て大きな成果をもたらすことになります。

収入を向上させるための第一歩は、自分の価値を信じることです。その後、具体的なステップを実行し続けることで、あなたのヨガ講師としてのライフスタイルがより豊かで、充実したものになるでしょう。

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