「開脚前屈が苦手」「なかなか深まらない」というお悩みを多くいただきます。原因はさまざまですが、よく考えられがちな、内転筋やお尻の柔軟性不足に加えて、意外なところかもしれませんが、背骨の伸びも深い関わりを持っています。また、その背骨の伸びに関係するのが、腸腰筋です。この記事では、開脚前屈を深めるための腸腰筋に特化したアプローチを新たな視点で詳しく解説します。
1. 開脚前屈ができない原因
開脚前屈が難しいと感じるのは、体のいくつかの部位が柔軟性を欠いているからかもしれません。以下では、その原因となる部位について説明します。
1.1 内転筋の柔軟性不足
内転筋は太ももの内側にある筋肉で、股関節を内側に引き寄せる役割を果たします。この筋肉が硬いと、開脚前屈の際に股関節の可動域が狭くなり、体を前に倒すのが難しくなります。
1.2 お尻の柔軟性不足
臀筋(お尻の筋肉)は、骨盤の安定に重要な役割を果たしますが、ここが硬いと前屈する際に骨盤が後ろに引っ張られてしまいます。これが、体を前に倒しにくくする一因です。また、開脚するときには、中臀筋というお尻の横の方の筋肉が関わってきます。お尻はこのようにいくつかの筋肉が合わさっているので、多角的にほぐすことが必要になってきます。
開脚前屈のお尻からのアプローチについてはこちらに詳しく解説しています。
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1.3 背骨の伸びが不足している
開脚前屈の際には股関節周りばかりにフォーカスしがちですが、上半身もうまく使えていないとポーズは深まりません。以下のポーズを見比べてみてください。
上と下では、背中の丸まり方が違うのがわかりますか?横から見るとこのようになります。
開脚前屈に限らず、前屈のポーズはすべてそうですが、「骨盤を立てる」ことができなければ、背中は丸まり、ポーズは深まりません。この「骨盤を立てる」はたらきを担うのが、全身の筋肉の中でももっとも重要と言われている、「腸腰筋」です。
2. 腸腰筋とは?開脚前屈にどんな影響を与えるのか
腸腰筋は、開脚前屈において非常に重要な役割を果たす筋肉です。このセクションでは、腸腰筋の働きとその解剖学的な役割について詳しく説明します。
2.1 腸腰筋の解剖学的な役割
腸腰筋は、腰椎から大腿骨に繋がる筋肉で、股関節を屈曲させる主な筋肉です。骨盤と背骨を安定させる役割も果たしており、これが柔軟性に直接影響を与えます。また、与える影響は柔軟性だけではありません。腸腰筋は姿勢保持筋とも呼ばれており、姿勢維持のために必要な筋肉でもあるため、ここが働いていないと、反り腰や腰痛、また体型のくずれなど、さまざまな不調の原因となります。
2.2 開脚前屈における腸腰筋の働き
腸腰筋が正しくはたらき、骨盤が立っていれば、背骨が伸ばしたまま前屈することができます。反対に、腸腰筋がはたらかず、骨盤が寝てしまっている、または後傾してしまっていれば、背中は丸まってしまうでしょう。このように、開脚前屈の時の鍵となる背骨は、腸腰筋のはたらきで左右されるのです。
3. 開脚前屈が深まる!腸腰筋トレーニング
腸腰筋のはたらきを向上させることで、開脚前屈のポーズを深めることができます。以下では、具体的な腸腰筋トレーニングの方法を解説します。
3.1 腸腰筋セルフチェック
まずは、自分の腸腰筋の状態をチェックしてみましょう。
仰向けになって膝を胸に引き寄せる動作や、ローランジで股関節を伸ばしたときの感覚で、腸腰筋の柔軟性を確認できます。
3.2 横隔膜をほぐす
腸腰筋なのに横隔膜が関係あるの?となりそうですが、上の図を見るとわかるように、腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)は横隔膜とつながっています。特に、大腰筋は背中側で横隔膜とつながっているため、二つの筋肉の固さは連動するのです。腸腰筋ががちがちになっている方は、まずこの横隔膜をほぐしていくのがおすすめです。また、横隔膜は呼吸筋でもあるため、深い呼吸を導き、リラックス効果もあります。体が緊張している状態ではいくらストレッチをしても効果が半減するため、まずここをほぐすことで高い効果が得られます。
3.3 腸腰筋を緩める
腸腰筋は奥の方にあるインナーマッスルで、表面からさわるのは少し難しいのですが、位置をしっかり把握することで自分でセルフマッサージをすることができます。
①腸腰筋のセルフマッサージ
腰骨の内側のくぼみに親指をあて、ぐぐっと押し込むと奥の方にあるのが腸腰筋です。これを触りながら足を動かすと筋肉が動くのが感じられるはずです。しっかりと指を奥まで押し込むのがポイントです。
②大腰筋のセルフマッサージ
おへそから指三本分くらい横の部位に指をあてて押し込むと、奥に大腰筋があります。ここを触りながら同様に足を上げ下げすると筋肉がゆるんできます。
3.4 腸腰筋を使う
腸腰筋はなかなか意識しないと日常生活では使いにくいインナーマッスルです。普段は使いやすいアウターマッスルを使ってしまうので、腸腰筋もうまく動かせていない可能性が高く、そうすると、うごかさない筋肉はどんどんさびついて硬くなってしまいます。腸腰筋のスイッチを入れるワークをいくつか紹介します。
①卵のポーズ
⑴仰向けになり、膝を胸に引き寄せる。
⑵右手で右膝、左手で左膝を押さえる
⑶お腹と太ももをくっつけるように上から押す。それと同時に足は手を押し返す。
②ブロックを使って
⑴ブロックを手の下におき、膝を伸ばしてすわる
⑵膝をのばしたまま手でブロックを押してお尻をもちあげる
3.5 腸腰筋を伸ばす(ストレッチのポイント)
腸腰筋は、何も意識せずに伸ばすと、ミスアライメントが起こりやすく、効果が半減してしまいます。そのため、しっかりとポイントをおさえて伸ばしていく必要があります。そのポイントは二つあり、一つは、「骨盤を立てること」、もう一つは、「骨盤を後傾すること」です。一つ目の「骨盤を立てる」は特に気をつける意識が必要で、この意識が抜けると、せっかくのストレッチも時間の無駄になってしまうので要注意です。では、どのように「骨盤を立て」たら良いのか、というと、骨盤を立てることを邪魔する筋肉をほぐせばいいのです。骨盤を立てることを邪魔する筋肉とは、つまり、太もも裏とお尻の筋肉のことです。腸腰筋のストレッチにいきなり入るよりも、まずはもも裏とお尻の筋肉をほぐして、骨盤を立てられる状態にした方が、より一層効果を感じられるでしょう。
4. 腸腰筋を鍛えることで得られる未来
腸腰筋を鍛えることで、柔軟性が向上するだけでなく、体全体の姿勢改善にも繋がります。ここでは、そのメリットを詳しく解説します。
4.1 腸腰筋を鍛えた先に見える柔軟な体(姿勢の改善)
腸腰筋を鍛えると、骨盤の位置が整い、姿勢が良くなります。これにより、背中や腰の負担が減少し、開脚前屈以外のヨガポーズでも安定感が増します。
4.2 ヨガ講師として新たな視点を得ることができる
ヨガ講師として、指導者として、常に新しいことを取り入れ続ける、ということはとても大切なことです。ずっと同じことをやっていては飽きてしまうし、指導者が飽きてしまえば、生徒さんも飽きてしまいます。また、人間の体はなれるものです。継続することはもちろん大事なことですが、同じワークをずっと反復していれば、体はそのワークに慣れてしまい、変化が感じられにくくなってしまいます。ヨガ講師として生徒さんに伝えるためにも、常に新たな視点で学ぼうという努力は怠ってはいけません。
5.まとめ
腸腰筋を鍛えることで、開脚前屈が深まるだけでなく、全身の柔軟性や姿勢改善に大きく寄与します。日々のトレーニングに腸腰筋のケアを取り入れ、柔軟性向上を目指しましょう。
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